2011年6月21日火曜日

ピエタ巡礼ツアー3日目。

イタリアの芸術に精通していない私達3人は、少ない滞在日数なので、きばった教会巡りをさっさと諦め、3日目は最終目的地をコンドッティ通りのブランド店見物に定めて外へ出た。

日本では無理なのに、3人で部屋を共にしているせいか、目覚めがいい。
7時には3人とも起きて、気持ち良く朝食をとり、いざ出かけた。

市場が見たかったので、朝市に出向いた。

もう、庶民の場というよりは観光名所になっているようで、どこも同じだが、台所便利グッズの実演販売を陽気なおじさんがしてくれた。

私達を中国人と思っているようで、しきりに犬のおもちゃをトマトやレモンに添えている。
いやいや、食べませんよ、犬・・・。


でも、イタリア語の響きはそれだけで歌のようで、陽気に話されるとついつい楽しく聞いてしまう。いや待て、あれはイタリア語なまりの英語だったな。(と、気づいたのは帰国してブログに残している今になってから。)

とにかく色とりどり、華やかだった。
さすがイタリア、エスプレッソマシーンがずらっと並んでいた。
みんな買って帰るのだろうか?


でも、あのカプチーノの美味しさは、水と空気が多いに関わっているのだよね。


そこから何となしにナボーナ広場へ向かった。
今日は妹がガイドだ。心強い。
地図を片手にあっちだこっちだ、と、導いてくれる。

ガイドブックをしきりに見て歩くと、スリが危ないので、地図だけちぎって持ち歩いていた。
結果、今日は観光内容が殆ど分からず、何となしに歩いた。

ナボーナ広場とその近くの教会でよくよく分かったが、巨匠の作品は、ガイドブックがなくてもよく分かる。ダントツに美しいのだ。
例えば、行かれたかたはご存知であろうナボーナ広場の噴水は3つある。
真ん中にある大きな噴水、これがずば抜けていた。


『・・・どうみてもこれだけ違うよね〜〜〜。。。』と揃ってうなずく私達。
ベルニーニの四大河の噴水だった。

時代の作風のせいかもしれない、でも、ルネサンスの筋肉美を表現した作品はどれも素晴らしいと思った。
躍動感とか、生命観、とか、表情、とか。こんなにも伝わるのか〜って。

その隣にある噴水は、どう見てもしょぼく見えてしまって、像がふてくされてるようにすら見える・・・・、と笑った。




老舗の文房具店をまわりつつ、パンテオンにもたどり着いた。


おお、もうすぐだ、ということで、トレビの泉にもたどり着いた。


ランチを食べて、いざ、スペイン広場とホテルエデンへ向かう。
途中、母が体調を崩しかけるが、せっかくだからわたしも見る!と頑張って一緒に歩いた。
『ピエタ』の物語は、スペイン広場から始まるのだ。きょうの目玉である。
そして主人公の泊まっていたホテルは、そこから程内、ホテルエデン。五つ星である。




ホテルエデン、立派なホテルだった。ちゃんとドアマンがいる、当たり前か。
ちょっと緊張しつつも、ロビーだけ見てみよう、という話しになり、3人でなかに入ってみる。


正面のロビーは、暖炉のあるちょっとした応接間の風情で、さりげなく静かにクラシックが流れている。
素敵だけど、どう考えても私達の空気ではない。

なぜか密やかに話してしまう。

『わ〜〜〜・・・』と喜びつつもなんだか恥ずかしくなって、結局5分もいなかったのではないかと思う早さで出てきた。


ここのホテルのリストランテはローマを一望出来る。
ちょっと憧れてはいた。
でも、この緊張感で食事したら、味が何にもわからないだろうな、と思った。
なので、行かなかった。


いよいよスペイン広場へ。

トリニタ・ディ・モンティ教会のファサードから、広場を見下ろす。
背が低くて、よく見えないから、手すりに乗り出す。

おおおお〜〜〜〜。


ここはもちろんローマの休日ファンにも外せないスポット、だから、すごい人だかり。

試しに母に階段の下の噴水のほとりで待っていてもらった。
果たして階段から見つけられるだろうか、と。
これは絶対やりたいとローマへ行く前から楽しみにしていた。

結果、24年ぶりの再会だったら見つけられる自信はないなあ。。。と思ったが、
うちの母は小柄だけど存在感があるので、そして一緒に暮らしているので、すぐに分かった。

さて、あなたはわかるでしょうか?ヒント、紫の人。(美輪明宏さんではない)
これならわかるのでは?!




さて。


いざ階段を下りて母の元へ行こうとして驚いた。
毎日、何百、何千の観光客が腰掛け、上り下りする階段は、ツルッツルの前のめりに石が減り、磨かれていた。
わたしは良かったのだが、妹はヒールを履いていたので、足下を見ずには怖くて降りられないと言っていた。手すりも近くにはないのだから、あれは怖かったと思う。わたしも足下は見てないと危なかった。
と言うわけで、小説のように母を見下しながら降りることは出来かった。残念。


母と、妹とスペイン広場へ来た。

それはピエタ像を3人で見れたことと同じくらい嬉しかった。

そして、トリニタ・ディ・モンティ教会の2つの鐘楼は、やはり夏空を押し上げるようにそそり立っていた。




つづく。