知る人ぞ知る、日本で二人しかいらっしゃらない、銭湯の背景絵師(本人自称)。
その貴重なお一人、丸山清人さんの塗り替え現場を拝見させていただきました。
友達のたびたろうこと、太朗ちゃんが、今年も塗り替え日を告知してくださり、幸運にもその日がお休みに!
前夜ながらも、明日行きます!と連絡して、ほぼ飛び入りです。
書き換えをされるのは、千葉県検見川の梅乃湯さん。
普通は2,3年に1度の書き換え、この銭湯は毎年されているのだそうです。
それだけ、お客さんとの関わりも深く、温かいお店なのですね。素敵です。
私はちょうど12時ころに到着、まだ男湯の絵を描いていらっしゃいました。
私がこの日一番驚いたのは、太朗ちゃんのこの一言。
「すごいですよ、丸山さん、あれで78歳だそうです。」
ええええええ!!
後姿はせいぜい歳が行っても60代くらいの背中です。
しかも、渡し板の上で、ひょいひょい、立ったり座ったり。
とても重いお手製パレット(ペンキの小さいバケツが5つ載ってます)を持ち上げるときだけ、
「よいしょっ」と小さな掛け声。
えええええ!!!
若い。素晴らしい身体をされている。。。。
なんというか、とおおお~~~ってもしなやかなのです。
ピンピンしてるとかじゃなく、軽やか、しなやか。最高です。
以後、私はこの素敵な丸山さんという男性を、そしてその素晴らしいお仕事をずーっと拝見する、
という至福の時間を過ごさせていただくことに。
外は台風の影響で強風でしたが、お風呂場には、気持ち良い風も流れてきます。銭湯の風鈴がなります。
梅乃湯の御嬢さんが飲み物を下さいます。
検見川って、天国らしい。
そんな中、丸山さんがふと振り返っての一言。
「一本松、描きますよ~。」
今年は男湯に、朝焼けの一本松。勿論、陸前高田の一本松を描くことになってたのでした。
私が着いた時点では、素敵な朝日と朝の雲が描かれたところで、ちょうど一本松を描く段階にお邪魔できたわけです。ああ、今日はついてる。
新聞社の方も取材にいらしてたのと、私たちとで、やじうま撮影大会。
写真を参考に描く一本松。
逆光にスッと栄えるその姿は、復興の夜明けを願わざるを得ない、誰もが、祈りと希望を抱く風景に仕上がりました。
銭湯絵は、浴場に入る瞬間にバッと視界に入ります。『その瞬間に「絵」になってないとダメなんだ』
梅乃湯のご主人がそう言い、
「いいですね!」
「去年よりもこっちがいい!」
と、感想が出てきました。
梅乃湯さんは去年も、復興を祈って、女湯に一本松を描いたのです。
その時は初めての一本松、そして今年は二度目。
丸山さん自身も
「これはいいね」と、脱衣所に座って、遠くから確認しておりました。
とてもシンプルに、潔く完成させるそのセンスも素敵です。
皆さんと一緒に昼食を頂き、今度は女湯です。
こちらは去年の一本松がまだ残っています。
銭湯絵は、上からどんどん塗り重ねられているそうで、下には歴代の背景絵が眠っているんだそうです。修復師さんにはたまらにかもしれませんね。
しばし写真でお楽しみください。
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今しか見れない!二本の(?)一本松。 |
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この沢山の刷毛と筆で描かれます。 |
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これがお手製パレット。もはやお膳並です。この5色だけで描かれていくのだからすごい。 |
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さあ、始まります。 |
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チョークで下描き。 |
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あっという間に上半分は富士山に。 |
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8割完成。 |
終わったのは夕方5時。
昔は二人組で、一日2か所、しかも、営業日で営業前に終わらせる、という猛スピードで描いてたのだそうです。
一日でこの大きな壁画を描いてしまうだけでも、すごい速さだなあ、と思ってしまうのですが。。。
しかも、丸山さんは、俳優の橋爪功さんのようなひょうひょうとした話口で、とてもお話しやすい方でした。
仕事のペースは「一か月に1回が理想」とおっしゃってましたが、実際は全国駆け回っているので、今月だけでも、5か所くらい描いてそうでした。きっと、もっと回ってらっしゃると思います。
78歳の働き者の職人さんに、脱帽。
そして、そんなご縁を大切にされて、銭湯も大切に営業されている、梅乃湯のみなさんの温かさに感謝です。
こんどはお湯に浸かりに行きたいと思います!
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梅乃湯の美人親子と。 |
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丸山さん、太朗ちゃんと。
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